詩恭(しきょう)です。
あなたは「諦める」とか「やめる」と聞くと、どんなイメージがありますか?
やはりネガティブなイメージがあるのではないでしょうか。
それもそのはずで、日本では途中で何かをやめてしまう=悪いコト、ととらえる傾向があります。根性論のなせるワザなんでしょうね…。
しかし、諦めるのは決して悪いコトではありません。むしろその方が良い場合だってあります。
今回は『諦める力』の感想と、“やめる”=ポジティブ!といえる理由をお伝えしていきます。
この記事は
・仕事、スポーツなど、やめようかどうしようか迷っている何かがあるあなた
・嫌々続けている何かがあるあなた
にお送りします。
『諦める』=ネガティブではない
先にお伝えしたように、諦めると聞くとどうしても悪いコトだととらえてしまう傾向があります。
しかもそれによって「自分はあの時諦めたからこの先もできない」と思い込む効果までついてくるという…。
悪い意味での日本の教育の成果ですよね。
そんなわけでネガティブなイメージがあるのは仕方がないんですが、実際は“諦める”はネガティブなものではありません。
むしろポジティブなものなんです。
為末さんも諦めた末にメダルを手に入れた
この本の著者は為末大さん。
あなたもご存じかと思いますが、世界陸上エドモントン大会(カナダ・2001年)とヘルシンキ大会(フィンランド・2005年)男子400mハードルの銅メダリストです。
私はヘルシンキ大会の決勝をリアルタイムで中継を観ていて(朝4時台w)、メダル獲得の瞬間にあまりに感動して泣いたんですよね…
まあそれはさておき、為末さんも陸上をやる中で諦めたコトがあります。
それはもともとやっていた100mという種目。陸上の花形ともいえる種目から、失礼ながら少々地味な種目へ。
やはり葛藤はあったようで、こんな記述があります。
当時の僕は、同世代の日本人のなかではトップクラスにいた。
だが、だんだんほかのアスリートに追いつかれ始めていた。レースによっては、ライバル選手に勝てなくなっていたのも事実だった。肉離れを繰り返していたことを考えても、僕の肉体は一〇〇メートルに向いていなかったのだと思う。
(中略)
僕は一〇〇メートルを走ることを諦め、四〇〇メートルと四〇〇メートルハードルに絞ることにした。
高校三年生、十八歳の僕としては、人生の転機とも言うべき苦しい決断だった。
『諦める力』第1章 諦めたくないから諦めた~十八歳の決断
四〇〇メートルハードルなら、僕にもメダルが取れるかもしれない。そう考えて、僕はこの競技に転向した。ただし、感情的にはそう簡単に割り切れたわけではない。
(中略)
「割り切った」「諦めた」「逃げた」
こうしたネガティブな感覚を持ち続けた。それを人に言いたくなくて、心のなかに隠しておくことが大きなストレスになった。
『諦める力』第1章 諦めたくないから諦めた~努力しても無理かもしれない
自分でも互角に勝負できるフィールドを見極め、そこに飛び込む選択をしても、簡単に「未練なく」とはいかないんですね。
ただ、為末さんも葛藤を乗り越えた末にメダルを獲得するコトができました。正しい努力をした結果が無事に出たんですよね。
この本では、メダリスト為末さんの視点での言葉から諦める=ネガティブではないと理解できますし、あなたの思い込みも払拭されるのは間違いありません。
私も積極的に諦めるのはむしろ必要なんだと考えられるよう変化できました。
日本人なら必ず読むべき、と言っていい1冊ですので、いますぐ読んでください!
戦略的に諦めるのも重要なんですね。もちろん迷いはあって当然ですが。
自分が勝てそうな場所で勝負するのは、スポーツでなくとも必要な考え方ですよね。
諦める=努力の方向性を変える
為末さんは葛藤がありつつも自分でもメダルが狙えそうな種目に転向し、見事に求める結果を得られました。
ココからわかるのは、諦めるのはただ投げ出すのではなく、努力の方向性を変えるという意味があるんです。
諦めるというと、これまでの努力がすべてムダになる、と考えてはいませんか?
そうではありません。ムダにするかしないかは、すべてあなた次第なんです。
得たものは必ず活かせる
仮にいま仕事をやめたとしても、失うものは実はほとんどありません。
なくすのは、これまで築いてきた職場での人間関係くらいのもの。
といっても友人としてつきあいたい人とは、関係をわざわざ断ち切る必要はありませんよね。
現代にはSNSもあれば、LINEなど連絡がとれるツールはいくらでもあるんですから。
そしてあなたが身につけたスキル、勉強して得た知識はなくならないんです。
次の職場でも活かせる可能性は十分あります。
というより、活かそうとするかはあなたの考えひとつ。
努力はあなたが裏切らない限り、裏切るコトはありません。
周囲の人の声より、自分の感覚
特にスポーツでいえるんですが、続けていると家族など周囲の人の応援があります。
それ自体はいいんですが、さまざまな理由からスポーツをやめようと考える時が出てきますよね。
そんな時に応援している人に相談すると、高確率でこう言われます。
「いままでがんばってきたんだし、もう少し続けてもいいんじゃない?」「応援してる人のために、ココでやめるのは…」
コレ、あなたのコトを考えているように聞こえますが、実は考えていません。
応援者の大半は未経験者ですよね。あなたがなぜそう考えるに至ったか、競技をしていてのつらい点など、表面的にしか理解していない人の方が多いはず。
あなたのコトを考えて「もう少し続けたら?」と言っているのではなく、正直言って「応援している私たちのために続けろ」と言っているのと変わりません。
いま一度思い出してほしいんですが、あなたは何のためにそれをやっていたのでしょうか?
周囲のためではなく、自分のためですよね。だとしたら、あなたの感覚を信じるべきですよ。
あなたが限界だと思うなら、そこで幕を引くのが一番です。為末さんはこうも言っています。
人には、自分が今歩いている道の横に、並行して走っている人生が必ずある。
たとえば僕には、アスリートという人生のほかにも、普通の企業に勤めるビジネスパーソンとして生きる人生もあっただろう。もちろん、ほかにもいろいろな可能性があったはずだ。まずは、今見えているのとは違う人生があることをわかっておくことだ。
そうすれば、「これをやめたら自分ではなくなってしまう」という、追い込まれた状況にはならないはずだ。もし、懸命に走っている道で成功する確率がほとんどないとわかったとしても、その横に走っている人生に移ることができるのだということを理解しておくべきだと思う。
『諦める力』第2章 やめることについて考えてみよう~「今の人生」の横に走っている「別の人生」がある
行くべき道は必ずしも1本ではありません。
道は何本もあり、それらに移るコトも十分可能なのです。
道半ばでやめたとしても、別の道があるんだと意識するだけで、心が軽くなりませんか?
いま行く道の横に別の道が走っている…と考えると、ゼロからのスタートという絶望感も薄くなりますよね。
努力の方向性は常にチェックして、修正しながら進むといいと思います。
諦めても、道はどこかにつながっている
ナビや地図を見ると、あなたが知っている道路だけでなく、いわゆる裏道もけっこう多いのがわかりますよね。
中には意外な場所につながっているコトだってあります。
コレと同じで、たとえひとつの道を諦めて違う道を行ったとしても、目指す場所に到達できる可能性もあるんです。
為末さんはこのように言っています。
今の人生の横に並行して走っている別の人生に気づくのは、簡単なことではない。
しかし「この道が唯一の道ではない」と意識しておくこと、そして自分が今走っているこの道がどこにつながっているのかを考えてみることによって、選択肢が広がるのは確かなのだ。
『諦める力』第2章 やめることについて考えてみよう~「今の人生」の横に走っている「別の人生」がある
あなたが行きたい場所に行くために、別の道を通っても何も問題はありません。
それを誰かにとがめられる理由も本来はないんです。
進める道はまわりにたくさんあるし、そのどこかが目的地につながっているんだ、と気付くコトがスタートになりますよ。
諦めるのは人生に必須、と気付かせてくれる『諦める力』、あなたの人生をかえますよ!
この記事が、あなたのお役に立てれば幸いです。
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